March 29, 2006

LAで活躍するエンジニアより

LAで活躍するレコーディングエンジニアのハッチ (Bay Studio所属)が、毎日アメリカのビッグアーティスト達のレコーディングに携わってきて感じた事の一つに「アメリカ人(バンド)は、生楽器を鳴らす事が出来る」事だそう。語ってもらいましょう♪

消音楽器について、ネットで記事があったので一言。

見ての通り、音がとても小さく騒音にはならずに楽器が楽しめるという楽器。とっても素晴らしいなぁ〜とは思うのですが、短所も勿論あるわけで。

長所は好きな所で好きな時間に演奏しても周りに全く迷惑を掛けない。これは狭い日本、いやアメリカでも素晴らしいこと。

短所、、、これが大きな課題とは思うのですが こういう消音楽器を使う事で本物の音/迫力を知らずに体に身に付いてしまうこと。

例えば、ドラム。日本のドラマーがドラムを鳴らせないのは ポンポコ叩いてるから。騒音も気にして弱く叩いているうちに、それが体に身に付いてしまうのでは? そして、本来の生ドラムの音を気づかずして育ってしまう。ギターも同じで ガンガンにAmpを鳴らせない環境ではやはり何が本物の音なのか 分からないでいる。アンプやスピーカーから体で感じる音圧などなど、そういうのはガンガンに鳴らしてみなければ分からないもの。

日本という土地環境では仕方が無いから凄く理解できる反面ちょいと将来が寂しい。

ついでなので、アメリカで仕事している某有名な方から聞いた面白い&事実の話。アメリカのリハーサルスタジオで日本の某プロバンドも仕事していました。廊下づたいに 5部屋あるリハーサルスタジオ。日本のバンドは一番端の部屋でリハーサル。勿論防音施設ですからドアを閉めれば殆ど中の音は聞こえません。そんな中 廊下に居るとやたら遠くの部屋がウルサイ。アメリカのバンドがドアを閉めずにリハーサルしていると思い全く正反対に位置する一番端まで行ってみるとドアはキッチリ閉められていた。。。

そう!それ位アメリカ人(バンド)は生楽器を鳴らす事が出来る。Vocalも同じ。声がデカイ! こういう所からして、1つ1つ日本とは違うんですわ。

よくアメリカと日本の音の違いって 気温や湿気と言う日本人アーティストがいるけどそれもそうだがそれ以前に演奏者が本来の楽器を知ってるか知ってないかが大きな違いじゃないかなって。勿論しっかり出来る日本人もいるけど 凄く稀。これは私の職業でも言える事。実はこれは一番最初にアメリカで働いた時に直ぐに気づいた日本とアメリカの差でした。

私がアメリカに来て最初にぶちあたった壁はボトムの出し方でした。日本で育って日本の環境に慣れてると、自分が丁度いいと思った感じではボトムが全然足りない事に気づく。(口で説明するのは難いけど)ボトムってのはある程度音量を出さないとちゃんと聞こえてこないものだから。慣れるのに本当に時間がかかりました。でかい音=いい音、ではないけど 楽器に関して言えばでかい音で鳴らす事によってその楽器が本来の意味で鳴りだす瞬間(音量じゃなくて)てのが絶対にあるから。